今日はこちらのイベントに参加してきました。
きっかけはこちらのツイートが TL に流れてきたのがたまたま目に留まって。
やるよー!!
— TAKAKING22 (@TAKAKING22) 2018年12月29日
Chrisの話を聞ける貴重な機会です。#モブプログラミング#モブプロhttps://t.co/KXeUS7MrrB
行きたかった Regional Scrum Gathering Tokyo 2019 の基調講演に登壇された方からモブプロを学べるってすごいイベントなのでは?と思ったのと、
ちょうど職場環境が変わって業務でモブをがっつりやることになったので、何か持ち帰れるものがあればと思い参加しました。
Twitter のハッシュタグは #MobExperiment 。
私のモブプログラミング経験
先月サイボウズという会社に転職して、そこで初めてモブプロというのを経験しました。
私が所属する kintone チームでは現在、基本的に業務はすべてモブで進めるというスタイルをとっています。
kintone という1つのプロダクトに対してのプロダクトバックログが1つあり、そのバックログを共有する 3~4 名のモブチームが複数存在するという形です。
(ちょうどそんな話を弊社の @ama_ch さんが RSGT2019 で話してました: チームワークの会社で最高のプロダクトを目指すチームができるまで / RSGT2019 - Speaker Deck )
1ヶ月ほど経ってようやくモブで進めることに慣れてきました。
雑多な感想として、私のような新規メンバーのオンボーディングとしてモブは非常に強力だと思います。
既存コードの読み進め方や不慣れな技術スタックがある中で、一人で試行錯誤するのに比べて圧倒的に効率よく知識のキャッチアップができていると感じます。
一方で、以下のようなモヤモヤというか、「こういうときどう対処するのがいいんだろう?」みたいな疑問も生じ始めているところでした。
- 終日モブで一人で考える/調べる/学ぶ時間が無い
- 9:45 のデイリーから始まって 18:00 頃まで基本モブ(MTG などの予定がない限り)
- モブの中で生じた、もう少し知識を深めておきたい/周辺のコードも理解しておきたい みたいなことはモブ終了後になりがち
- 自分はそういう自己研鑽が業務外になることを良しとしてしまってる人間なので問題だと思ってないが、次に入ってきたメンバーに同じような考えを強制したくはないなあみたいな気持ち
- ※ それでも 18:00 にはだいたい終わりにしてるから、30 分ぐらいは毎日確保できてる計算になる
- モブに決まったタイムボックスがない
- 午前はなんとなく 12:00 の昼休憩までで1つの区切りになるが、午後はドライバーの交代や休憩のタイミングがまちまち
- 個人でタスクを進めてたときにポモドーロを取り入れてたこともあって、個人的には1コマ○分とかあった方がリズムができていい
- タイムボックスとかないのが一般的?
- 次スプリント以降のバックログに対する技術調査を誰が・いつするのか
- バックログリファインメントで Ready とは言ったものの、「○○する方法については技術調査必要だよね」とか「実際どこ直せばいいのかは事前に軽く調べといた方がいいよね」みたいな状況に何度か遭遇した
- そういった時間をどこで確保すればいいのか
- モブの途中に内職することもできそうだが、それだとモブに参加してる意味がないし一人だけ隠れて悪いことをしてるようで誠実ではない
- 自分がドライバー以外のときにモブに貢献できてないことがある
- みんなが議論している以前のところでつまずいてることがあり、沈黙状態になる
- ※これは完全に自分が悪いと思っている。メンバーとしての質問責任を果たしていない
勉強会の内容
午前パートは Chris さんからのプレゼン形式。
前半モブプロとは何かという基本的な話、 Chris さんの所属する Hunbter Industriesでのモブプロやそれ以外のふりかえり・テストなどについてのプラクティスなどを教えていただきました。
ツイートされてたので後で観ましたが、 Chris さんの会社の雰囲気はこの動画がとても参考になります。
ランチをはさんで午後は実際にモブプロを経験。
参加者を2チームに分けて即席チームを作り、お題に取り組みました。
午前パートのメモ
Chris さんの所属している会社でのプラクティスをかなり具体的に説明してくださったんですが、いかんせん自分の英語力が低く理解できなかった部分も多かった...
(これは今回の反省点で、話さえぎってでも都度都度自分の理解が合ってるか確認すべきでした)
その中でも印象に残っていることを。
モブプログラミング RPG
モブするときの役割を RPG っぽく定義したもので、GitHub で公開されてます。
https://github.com/willemlarsen/mobprogrammingrpg
ドライバー以外はみんなナビゲーターかと思ってましたが、こんなにあります。
(https://github.com/willemlarsen/mobprogrammingrpg/blob/master/Mob%20Gallery.pdf)
そしてモブを RPG とみなして、自分が今何のロールを演じているかはっきりさせることで、自分がモブの中で果たすべき役目が明確になりますね。
ここにある全ロールはこれからじっくり見ていこうと思いますが、個人的になるほどと思ったのが Researcher というロール。
(https://github.com/willemlarsen/mobprogrammingrpg/blob/master/Researcher.pdf)
今、あるいはこれから必要になる技術調査をモブと並行して進めるロールだという理解です。
冒頭のモヤモヤに対する1つの解になってる気がします。「今から Researcher のロールやります」と言えばモブの議論から抜けることに抵抗がなくなりそうです。
Mob Timer(と、ふりかえりのタイミング)
モブプログラミング時に使えるタイマーアプリで、これも GitHub にあります。
https://github.com/MobProgramming/MobTimer.Python
モブのメンバーを追加(タイマー下の左側のブロック)してタイマーをセットすると、時間が来たらスクリーンがロックされ、次のドライバーに交代を促されるらしいです。
Chris さんの会社では 1 コマ 45 分でやってると言ってました。
また、面白いなと思ったのはここのメンバーに「Retro」というのを追加して、1 周したタイミングで 45 分のふりかえりを実施するというもの。
(すべてのモブチームで統一してるわけではないよ、と言ってた気がしますが)
Learning Sessions(学習セッション)
Chris さんの会社では毎日1時間 (金曜は2時間) を学習(実験)のための時間として確保しているそうです。
チームで勉強時間と聞くと準備が必要な勉強会形式を想像しますが、一人でもくもくと調べるような時間も含まれているとのこと。
何をやるか、一人でやるか複数でやるか、はそのときそのときで変わるそうです。
(勉強会開くとして、準備の時間もこの枠で確保されてるみたいなイメージかな)
No Estimate
これはアジャイルや Chris さんの会社のことを知ってる人からすれば有名な話のようでしたが、個人的には衝撃でした。
見積もりをしないらしいです。ストーリーポイント使ってない。
その理由のところがうまく聞き取れず残念でしたが、ランチの最中にその話題に触れて
「僕らは価値ある機能をユーザーに一刻も早くデリバリーすることに重点を置いている。だから、僕らがやってるタスク(スクラムで言うユーザーストーリーのことだと思う)は着手してからリリースされるまで長くても 2 時間ぐらい。15 分ぐらいのもある。仮に T シャツサイズ見積もりしたとして、僕らからすると全部 Small になっちゃうよ」
「作ったものを素早くユーザーに届けて、それが本当に価値があったのかを計測することが重要。だから、あるフィーチャーがリリースされてから実際何%ぐらいのユーザーに使われているのかを計測できるようにしておくのは大事だよね」
といった旨のことをおっしゃってたのが印象的でした。
午後パートのメモ
参加者とチーム組んで、お題「三目並べを実装する」に挑戦しました。
Mob 1 with @ChristophLucian#MobExperiment pic.twitter.com/3tE5IIB2ee
— TAKAKING22 (@TAKAKING22) 2019年1月12日
※ ネタばらしをすると、これは「Chris と一緒に記念写真撮ろう!楽しくモブしてるっぽい写真にしよう」と言って撮った写真なので Chris さんがっつり演技入ってます。楽しかったのは本当です。
前半パートの Chris さんの話を参考に、僕らもタイマーでドライバーの交代タイミングを決める&1周したらふりかえることにしたんですが、モノを作るよりもモブでの開発を体験するのが目的なので 1コマ5分という高速サイクルに。
以下感じたことを箇条書きに。
- とにかく楽しい
- この勉強会に参加するぐらいの人だから熱量が高かった
- 物理的にPC共有すると 5 分交代でもスイッチングコストそんなかからない
- 何かあったときにさっと集合できる&フリーハンドで書ける場があるの強い
- 業務でリモートでやってると、ここらへんに課題を感じることがある
- 即席チームでも全然なんとかなる
今日の振り返り#MobExperiment pic.twitter.com/F68V6EYX3e
— Acky_F (@AckyF1) 2019年1月12日
クロージング
最後は2チームがそれぞれやったこと、感じたことを共有した後、自由な質問タイムに。
冒頭のモヤモヤにあった、モブで沈黙状態になる問題についてはある参加者から
「うちも新人とかがモブに加わった際、わかってないんだけどわかってないと言えず置いてけぼりになるという問題が発生してた。でも「わからないことはわからないと言う」っていうのをチームのグランドルールに設定したところ、それだけでもだいぶ効果があった」
という話を聞いて、あーそっか曖昧にせずチームで合意する・明文化するってだけでも改善されるものだなという学びがありました。
おわりに
熱が冷めないうちに書いてしまおうと思って書いたらまとまりがない長文になってしまいましたが、非常に多くのことを学べた濃い勉強会でした。
スクラムのプラクティスもそうですが、チームの問題はチームによって違うので、よそでうまくいってるプラクティスをただ持ってくるだけではうまくいかないというのは今回もあてはまりそうですが、それでも世界最高レベルでモブプロをうまくやっているチームの話が聞けて自分の引き出しが1つ増えたのは非常に良いことだったと思います。
また今回のイベントの運営側のみなさま、勉強会の最中はそこまで積極的に介入せず参加者に自由にやらせてくれましたが、英語でみんなが困ったときに助け舟を出してくれたりモブの最中は定期的に果物やコーヒーを差し入れたりしてくれて、参加者が気持ちよく過ごせるようにという配慮がとても感じられました。
今回の勉強会を企画・開催してくださったことも含め、本当にありがとうございました!
TODO:あとで読む
Chris さんが所属する Hunter Industries について昨年のアドベントカレンダーに記事があったようなので読む。
モブプログラミングという働き方 #モブプログラミング - ナイスビア珍道記