昨日、一昨日と PyConJP に行ってきた。
小規模の勉強会はこれまでにも何度か参加した経験があったけど、
数百名規模の大きなカンファレンス、特に有料のカンファレンスは PyCon に限らず今回が初めてだった。
(例外は今年の頭に参加した HTML5 Conference でしょうか。あちらは無料だった)
そのせいもあってかすごく色々な刺激を受けた2日間だったので、自分が PyCon を通じて感じたことや考えなどをメモ。
なお、資料については既にこちらにまとめられているほか、
https://techstars.jp/blog/pycon15-1/
セッション動画もほとんど全てこちらにアップロードされているようなので
https://www.youtube.com/user/PyConJP/videos
興味のあるセッションは上記リンクから探してみると良さそうです。
(2015/10/14 追記)
上記サイトに加え、スライド・動画ともに PyCon JP のサイトにまとめられたようです。
https://pycon.jp/2015/ja/reports/slides/
(追記ここまで)
(私の Python 歴)
業務で Python を使用して 3 年ぐらいになります。
Google App Engine で web アプリケーションを作ってます。
Python のライブラリ・フレームワーク関連で使用しているのは Django ぐらいです。
そのため、機械学習やデータ分析についての知識はほぼ皆無。
興味を持ったセッション・聞きたかったセッションとか
都合により両日午前は参加できず、午後から聞いたセッションも数えるほどだった。
聞いて面白かったのは初日だと Selenium を使った自動テストの話と、女性向けのコミュニティ運営に携わっている方々によるパネルディスカッション。
2日目は形態素解析の話が唯一なんとなく理解できた。初心者向けの内容にしていただいたようで非常にありがたかった。
資料
- CR03 なぜWeb画面自動テストはうまく行かないのか(動画・スライド)
- Panel Discussion - いま求められるコミュニティの多様性と未来(動画)
- Python で作って学ぶ形態素解析(動画・スライド)
聞き逃した中で気になっているものは1日目のプログラミングコンテストについての話と、2日目の基調講演。
前者は後でスライド見ました。
各コンテストが扱っている領域とかとっつきやすさとか非常にわかりやすかった。
業務で Python 使っててもそれだけだと身につかない知識・スキルはあるし、それを楽しみながら身につけることができるという理由でコンテストはいいのでは、という気になった。
自分より優れた人のコードを読んで学べる、というのはいいですよね。
スライド
時間のある時に動画も見てみたい。
また、こちらは2日目の基調講演の動画。
カンファレンス全体の感想
第一印象は「堅い・まじめ」
カンファレンスに着いてすぐに感じたのが、「普段行ってる web 系の勉強会となんとなく客層が違う」ということだった。
私は大学の頃は理系しかいないキャンパスで過ごしたのだけれど、どことなくそれに近い「アカデミック」な雰囲気が感じられた。
これまでエンジニア向けカンファレンスは HTML5 Conference や(参加したことはないけど)YAPC Asia のようなイベントしか知らなかった私からすると
「カンファレンス」って名前はついてるけど実態はみんなでワイワイ盛り上がるお祭りみたいなもの、とか思ってたのでこれは意外だった。
カンファレンス参加者の多様性:若者が多い、研究者が多い、外人が多い
それから、セッション登壇者のバックグラウンドが非常に多岐に渡っていて驚いた。
私のように web エンジニアとしてサービスを作っている方もいればデータ分析系の仕事をメインとしている方もいたし、
そもそも社会人ではなく大学の助教という肩書きの方もいた。
あと、学生枠があったのもあるけど学生の参加者もかなり多かった。
Lightning Talk では大学院の修士・博士課程の方がセッション本編と同じくらい難しいことをやっているのを発表してたし
最年少のスピーカーはなんと15歳だった(!)。
素直に若者すごいってなったし、自分もまだまだ若いしこれからと思ってたのに自分より年下の人たちがこれだけ優秀であるのを目の当たりにしてすごく焦りを感じた。
懇親会でお話した人も何名かは学生だった。
みな研究の直接の目的ではないが、データ分析のツールとして Python およびその周辺ライブラリを使っているという人が多かった。
また、当たり前のように英語のセッションが開かれていることも意外だった。
外国の方も多数参加し、フリースペースでは日本人も交えて普通に英語でトークしてた。
(英語ができないせいでこういう場にとびこんでいけないのは、けっこうなチャンスを無駄にしてるんだなあと反省)
これだけ多種多様な人間が Python という1つの言語をきっかけにして集まるというのは面白いし、こういった場は非常に貴重だと思う。
PyCon のメインはコミュニケーションかもしれない
PyCon はセッション以上に参加者同士のコミュニケーションを楽しめるイベントだと思った。
初日の懇親会だけでなく、両日15時ごろには「おやつタイム」という30分ぐらいの休憩時間が用意されていたのが面白かった。
その間はセッションもお休みで、飲み物とお菓子が用意され、ほとんどの参加者が一箇所のスペースに集まるので
私もお菓子を食べながらたまたまスタンディングテーブルで隣り合った人と会話をすることができた。
また、2日目のポスターセッションも交流の場として機能していたと思う。
カンファレンス全体の規模や内容に派手さはないけれども、参加者のコミュニケーションが促されるように
主催者側がすごく考えてくださったんだと思う。
一生使える知識を身につけるためには本を読むべき
これはカンファレンスそのものとはあまり関係がないんですが。
会場でオライリー本の10%オフセールをやっていて、普段は素通りするんだけど久々にお金を出して本を買った。
少し前だけどこのスライドに書かれていることが非常に共感できて。
(後半の「ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアと環境」のあたり)
自分も暇を見つけては勉強会に参加したり、web 界隈でバズってるワードを勉強してみたりしてるんだけど
いまひとつエンジニアとして成長している自信が持てずにいた。
そんな中、自分よりも年下の学生の方が専門的な内容をこういった場で堂々と発表しているのを見たこともきっかけになったと思う。
懇親会でお話したエンジニアの方が面白い話を教えてくれた。
(元々はちょっと前に twitter とかで流行った話らしい)
web にあふれている情報や流行りの技術というのは、知識にとっての「おやつ」でしかない、と。
興味を持ってつまみ食いするのは結構だが、web の情報というのはほとんどが断片的でまとまりがなく、
一生を通じて身につけていく知識にはならない。
おやつもいいけどちゃんと成長するにはやっぱり主食が必要で、それはきちんと洗練された文章で書かれた「本」である、といった内容だった。
今の自分にはこの表現はしっくりきた。
書籍代、ケチってたけどここにはちゃんと投資することにしよう。
ちなみに、買った本はこの2冊。
2冊とも別にそこまで新しくもないし python も関係ないという。。。
1冊目の「Team Geek」は有名な本なのか名前は知っていたけど、こういった技術本でなく心構えとか考え方に関する本は今まで敬遠してたのであえて買ってみた。
2冊目は↑の知識の例え話を教えてくれたエンジニアの方もいい本だとおっしゃってた。
内容が良いのに加え、著者が日本人なので不自然な日本語の文章がなくて読みやすいらしい。
あと、今後買ってみたい本として、今月・来月はオライリーが「秋のpy祭り」と称して4冊ぐらい Python 関連の本を出すらしい。
https://www.oreilly.co.jp/catalog/soon.html
この中だと一番上の「サイバーセキュリティプログラミング」とか面白そう。
あとは、2日目の形態素解析のセッションで紹介されてた「自然言語処理の基礎」という本も読み物として面白そうだなあ。
Possibilities of Python:python の可能性について
今回のカンファレンスのテーマでもある「Possibilities of Python」について感じたこと。
はじめに、Python という言語の可能性について視野が広がったかという点について。
参加する前に抱いていた考えは、「Python はデータサイエンス系の部分に強く、web アプリケーションそのものを開発している自分は割とマイナーな方である」ということ。
これについては、率直に言うとそれほど変わらず、Python を使ってこんなことまでできるのか!という発見よりは
あーみんなやっぱりデータ分析とかに利用してるんだなーと再認識したような感じだった。
ただし、それ以上に感じたのが、このカンファレンスは単に Python という言語をもっと広めよう!ではなく
Python を通じてプログラミングそのものを普及させようというテーマなのかなということだった。
たとえば、初日にあったパネルディスカッション。
登壇者は女性向けコミュニティの運営に携わっている方々だったが、Java 女子部だったり Rails Girls だったりコミュニティの言語は様々。
にも関わらず、コミュニティの存在理由を「プログラミングに興味はあるが、一人ではどう始めていいかわからない」という女性のためのきっかけ作りと考えている部分は皆さん共通しているように思えた。
(実際にそう明言していたかは定かではないが、個人の感想として)
もう1つは、2日目に開かれていた子ども向けワークショップ。
https://twitter.com/yellow844/status/653010998832447488
これは自分も同じことを感じて、こういうイベントで子どもと一緒にプログラミングを楽しめるって素晴らしいと思うし
これをきっかけにプログラミングに興味を持つ人が増えてもっともっとプログラミングが当たり前になっていけばいいと思う。
PyCon の参加者はみんな、プログラミングの裾野を広げたいと思っていて、Python はそのための(初心者にもとっつきやすい)便利なツールである、ぐらいに捉えているのかも。
そういう意味では、「アカデミックな研究のための言語」でもあり「プログラミングをやったことのない人が初めて触れる言語」にもなれる Python の可能性はすごく大きいですね。
おわりに
普段から自分の考えとかを文章でまとめる訓練をしていないせいで、非常にまとまりのない文章になってしまった。。。
最初にも書いたけど PyCon JP はセッションから情報を得る以外に受ける刺激がいっぱいで非常に面白く、来年もぜひ参加したいと思える内容でした。
来年は今年以上にもっと多くの人とコミュニケーションを取れるように努力したい。
あと、もうちょっとセッションの内容が理解できるよう勉強せねば。